熊谷 敦子[日本共産党福岡市議会議員(西区)]

熊谷 敦子[日本共産党福岡市議会議員(西区)]

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議会報告

6月議会反対討論

議会報告

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第112号、115号、122号および134号に反対し、討論を行います。

 

まず、議案第112号「福岡市 放課後児童 健全育成事業の設備 及び 運営の基準を定める条例の一部を改正する条例案」についてです。

本議案は、放課後児童支援員、すなわち留守家庭子ども会の職員のうちの支援員の資格要件の一部を緩和するもので、第10条に「5年以上放課後児童健全育成事業に従事した者であって、市長が適当と認めたもの」という規定を新たに加えます。

学童保育には、幼児とはちがって、仲間をつくって逸脱や悪さをしながら遊びをする「ギャングエイジ」の子どもたちの発達・成長に責任をもってかかわるという、独特の難しさがあります。単に遊びを一方的に与えるのでもなく、また上から統制・管理をするのでもなく、子どもたちが仲間との関係を自分たちでうまく築き、生活や遊びの主人公になっていけるような複雑性をもった関わり方が求められており、学童保育の支援員は、本来保育士や学校教員と同様の、高い専門性が必要とされています。

わが党は「現在の研修は、こうした専門性を保障するものなのか」と委員会でただしましたが、資格要件となる研修は16科目24時間で、そのうち今述べたような子どもの発達について扱うのはごく一部の時間しかないことが明らかになりました。本市の支援員からヒアリングした際にも現在の研修は専門性をつちかうには「とうてい足りない」と述べられ、日本学童保育学会の代表理事で、早稲田大学の教授だった増山均(ましやま・ひとし)氏も、専門的力量をつくるには「短時間の研修のみでは不十分」と指摘しています。

したがって現時点では大学などでの時間をかけた養成や、国家試験による資格取得しか、その専門性を保障するものにはなっていません。現行の条例も同じ問題を抱えています。

もともとこの規制緩和は、全国的に学童保育を必要とする子どもが激増している中で担い手を確保しようという背景のもとに打ち出されました。本市の支援員にお話をうかがうと、主任支援員が足りずに支援員が交代で代理をしているところもあり、本市でも担い手不足は深刻な問題となりつつあります。

現在本市の支援員は時給に換算すると1000円程度で、雇用は1年ごとのコマ切れとなっており、きわめて低賃金・不安定な雇用です。わが党は議案質疑で、主任支援員と支援員を正規雇用として賃金や雇用期間を専門職にふさわしいものに引き上げるよう求めましたが、市長は応じませんでした。これでは生涯の職業にしようとする人が増えるはずもありません。

したがって、大もとの対策に手をつけず、専門性を保障しないままで規制を緩和する本議案には賛成できません。

 

続いて、わが党が賛成する諸議案のうち、いくつかの問題について述べておきます。

まず、議案第113号、「福岡市 障がいを理由とする差別をなくし 障がいのある人も ない人も 共に生きる まちづくり条例案」についてです。

本議案は、障害者権利条約から障害者差別解消法にいたる世界・日本の大きな流れの中で、本市でも「差別解消のための条例を」という障害者や市民の運動を受けて制定の機運が高まったものです。とりわけ障害者団体などが集めた1139件もの差別事例・声の調査は貴重な礎となりました。

障害当事者をふくめ8回に及ぶ条例検討会議や保健福祉審議会での審議などが行われ、条例案には障害者の願いが一定程度反映される形となりました。

しかし、条例案の根幹となる「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮」の2点に関する部分で障害者の声は反映されないままになっています。

6月15日に「福岡市に障がい者差別禁止条例をつくる会」が市議会あてに出した要望書では、「実体規定に『何人も』を規定すること」「事業者の合理的配慮の提供について、努力義務から法的義務とすること」として条例の修正を求めています。同様の修正提案・要求は、他の障害者団体からも市議会および市長あてに出されています。

わが党市議団も、「不当な差別的取扱い」を何人にも禁じる実体規定を盛り込むこと、事業者の「合理的配慮」の提供を義務とすることを質問で要求し、この2点にしぼった修正案も各会派に提起しましたが、残念ながら与党を含め過半数の賛同をえられず、否決された場合の影響を考慮し、提出を断念しました。

したがいまして、本条例案は根幹の部分で重大な問題を抱えておりますが、当事者団体が一刻も早い条例の制定を求めていることとあわせ、障害者団体の意見を一定反映していることを踏まえて、今回は賛成いたします。

しかし、障害者からの要望・意見を真摯に受け止めるのであれば、以上の2点については、条例に定められた3年後といわず、早急な見直しを行うよう髙島市長に強く求めておきます。

 

次に、議案第114号「福岡市 中小企業の生産性向上のための 設備投資の促進に関する条例案」および議案第111号「福岡市市税条例の一部を改正する条例案」についてです。

本議案は、生産性向上特別措置法にもとづいて、中小企業の設備投資の支援として、固定資産税の課税標準を、3年間に限って、条例に定めた割合で減免するもので、現行の中小企業等経営強化法にもとづく国の補助・助成制度を引き継ぐ性格を持っています。

わが党は中小企業の支援をすすめる立場から本議案には賛成しますが、この制度は本市にある7万もの中小企業のうち、500社程度しか受けられず、中小企業の中の大多数を占める小規模企業にはほとんど縁遠いものだと言わねばなりません。

新しく制定した中小企業振興条例で「小規模企業者への配慮」が定められていることや、小規模企業振興基本法で「成長発展」だけでなく「事業の持続的発展」をする零細企業に光を当てるように求められていることをふまえれば、すべての中小企業・小規模企業を視野に入れた支援策が必要です。特定企業のみを支援する今の市の中小企業施策を抜本的に転換することを要求しておきます。

 

以上で、わが党の反対討論を終わります。